いやいやえん

映画・DVDの感想ブログです。個人の感想なのでネタバレしています。

アイム・ノット・シリアルキラー

【概略】
ジョンは葬儀屋を営む家庭で育った影響か、死体や殺人に異常な関心を抱いていた。そんなある日、町で謎の連続殺人事件が発生。ジョンは自ら調査に乗り出し…。
スリラー


.0★★★★☆
ソシオパスvsシリアルキラー。狂気と狂気の対決の果てに待つ驚愕のラストとは?
人間誰しも殺人や死体や残虐的なもの(戦争でいえばナチの撮ったユダヤ人の大量死体写真とか)にある時分興味を示すことがあるのでは、と思っていたのですが、これは私の「性質的な問題」でして普通の人はそうではないというのを最近知った次第です。中学生当時、ディアゴスティーニの「週刊マーダー・ケースブック」とか集めてたからね…。私は完全にそちら側か。
葬儀店を営んでいる家族という事で、主人公の青年は日常からして「死」が蔓延しており、そりゃあ興味がわくか、嫌がるかのどちらかだろうと。彼の場合は前者だったようですが、そのせいでソシオパス(社会病質者)と診断されてしまう。
このソシオパス(社会病質者)というのは、反社会性パーソナリティー障害の事で、サイコパスが先天的なものとするならば、環境により形成されるのがソシオパスというわけ。例えば…
01:過大な自我の持ち主である。
02:嘘をついて、人を操るような行動を示す
03:共感の欠如
04:自責の念や羞恥心の欠如
05:恐ろしい状況、危険な状況でも、落ち着いている
06:無責任な行動や、あまりにも衝動的な行動を取る
07:友人がほとんどいない
08:魅力的である――ただし、表面的に。
09:「楽しいかどうか」を人生の行動指針にする
10:社会規範の無視
11:視線が強い
2つは確実に私は当てはまる。しかしこれに3つ以上あてはまったらソシオパス傾向だと言われる。またソシオパスは極度のナルシストであり、自分は特別だという意識がきわめて強く、自分の失敗を他人のせいにする傾向も強いんだそう。

本作では、周りから殺人者予備軍と勝手に決めつけられている青年が、田舎町で連続する殺人事件に人並み以上の関心と興味から独自調査していると、たまたま偶然が重なり、身近な連続殺人者の正体(=隣の老人)を知るというもの。
しかも普通の殺人ではなく、予告編でもわかるんですが、腕の先から細い棒のようなもので突き刺してるんですけど、なんか「寄生獣」的なの。そして内臓を抜き出して自分に入れてました。というか、もはや人間ではない。→ここで本作のある意味で驚きの展開に衝撃を受けます。脚が悪く上手く踊れなかった老人が、散髪屋の店主と警察を殺してから、別人のように華麗なステップで踊っています。あいつ、脚を盗りやがった…!
しかも、普通お隣さんが殺人者&モンスターとなれば距離を置きたくなりますが、ジョンはソシオパスなのでむしろグイグイいきます。「お前の正体を知っているぞ」まずは手紙を残します。それからは老人の監視です。また殺るだろう。ドキドキ。
なんか知らん、ジョンのドキドキっぷりが移ったかのようにこちらもドキドキしてきます。そして周囲の人間まで危害が及び、ジョンは決意します。これ以上誰も殺させない!

…まず考えるべきなのは、このタイトル「アイムノットシリアルキラー」とは誰のことでしょうか、という事です。当然ジョンの事でもあるでしょう。しかし、見ていたらわかってくるのですが、老人の悪事の背景には「純粋な愛情」があり、なまじそれがあるばかりに自身を追いつめてしまう姿はとても切ないです。永らえたかったのは命ではなく妻との愛…決して快楽の為に殺してる訳ではないこのモンスターもまた「アイムノットシリアルキラー」なのでしょう。
そして、「死」が身近にありすぎるジョンは、老人の命への執着、果てはその根本にある愛情というものに触れることになります。決して許される存在ではないモンスター、しかし愛というものを軽んじているジョンにとっては、これは学習と理解です。なんと、これ青年の心の成長物語でもあったんですねえ!

臓器を補充して長生きしてた寄生生物が、妻を物凄く愛してるという設定の作品で、このアイデアだけで個人的には大満足の一本でした。謳われてるソシオパスvsシリアルキラーというサイコスリラー作品ではなかったですねえ。

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