いやいやえん

映画・DVDの感想ブログです。個人の感想なのでネタバレしています。

FOUND ファウンド

【概略】
学校ではいじめられ、不仲な両親の下で暮らす少年・マーティの楽しみは、家族の秘密を覗き見すること。ある日、兄がクローゼットに生首を隠していることを知り…。
ホラー


.0★★★★☆
11歳の少年マーティ。学校ではいじめられ、両親も不仲。そんな彼の楽しみは家族の秘密をのぞき見すること。お母さんの秘密はベッドの下に隠されたラブレター。お父さんの秘密は車庫の奥のヌード雑誌。だからお兄ちゃんが、クローゼットに生首を隠していても変じゃない。時々変わる生首を、人知れず取り出しては眺めるマーティ。しかしある晩、いつものようにクローゼットを探るとそこには同級生の首が…。僕が秘密を知ってること、お兄ちゃんが気付いたかもしれない…。

11歳という多感な時期に、それまでの全幅の信頼から大人に対する不信感が芽生えていく様を巧みにとらえていた本作。本編で描かれる出来事は全て11歳の弟(主人公)の目を通してで、兄がなぜいつから狂気に蝕まれているのか?とか、弟が知り得ない情報は最後まで描かれない。ただ弟が直面している問題を通して、兄の闇は見え隠れするように作られてはいると思う。
その際たるものが兄の愛するこの「ヘッドレス」というホラービデオ。これがかなり変態スプラッター・ホラーでして…。これ、私含め、長編映画で見たい!と思うホラーファンは少なくないはず。

弟の世界はまだ完成しておらず、家庭と学校の中しかない少年の狭い視野を通し、「兄の秘密見ちゃった!見た事がばれたかもしれない!」という消極的世界観が的確に表現されていて、そこが面白い部分でもあります。また、兄は、傷ついた心を落ち着かせて、かつ怒りを鎮めれる存在がホラー映画の中だったのではないかと、容易に想像させられる構成になっていて、脚本の巧さを感じます。

そしてついに盗み見していたことが兄の知るところとなり、自分はどうなるのかと怯えていた弟が、部屋に黙って入るな程度の警告で終わった事から、それがきっかけで学校でのいじめ問題を兄に相談したりと、兄弟愛を確かめ合う姿を美しく描写することで、弟にとって兄は、守ってくれる存在、頼れる存在へと昇華する。
殺人を犯していても、唯一悩みを聞いてくれて、問題解決もしてくれ、誰よりも親身になってくれる、だが精神的に壊れた兄が「守護者」として機能し、弟が信頼を寄せる歪んだ関係性、これがあやうく、狂気に満ちていて実に素晴らしい。

ラストカットがまた凄い。「両親の生首の間に埋もれて猿ぐつわされる弟」の図。「これで大丈夫だ。」兄はそう言い血まみれで外に出て行った。
想像させるのは、こんな経験をして弟がまともに成長できるわけ無いと言う事。トラウマ体験は人を変える。兄が贈るのは愛する弟への「自由」と言う名のプレゼント。
色んな意味で凄まじい映画ですので覚悟して観てください。

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