いやいやえん@引っ越しました!

映画・DVDの感想ブログです。個人の感想なのでネタバレしています。

血の伯爵夫人

【概略】
17世紀のハンガリー。有力貴族の娘として生まれ育ち、ナーダジュディ伯爵と結婚したエルジェーベトは、夫の死後、舞踏会で出会った21歳の青年イシュトヴァンと恋に落ちる。ところが、それを知った彼の父親トゥルゾ伯爵のはからいで二人の仲は引き裂かれてしまう。愛を失った原因が自分の年齢にあると思い込んだエルジェーベトは、若さと美貌に異常な執着を見せるようになり…。
ドラマ


.0★★★★☆
近世のハンガリーに実在し、あの吸血鬼伝説のモデルにもなった「血の伯爵夫人」の恐ろしくも悲しい物語を、ジュリー・デルピー監督&主演で描いた戦慄の作品。
DVDすら出ていませんが、あのエリザベート・バートリーを描いた2009年の作品です。美貌と若さを維持するために処女の血に浸かる。「鉄の処女(アイアン・メイデン)」。そんなものが連想されますが、この作品では愛により狂気におかされた悲劇的な女性として描かれていました。ホラーではないです。

20歳近くも年下の、トゥルゾ伯爵(ウィリアム・ハート)の息子イシュトヴァン(ダニエル・ブリュール)に惹かれた彼女が、自分の胸元を切って愛しの彼の髪の毛を体に埋め込んだりと、その愛の強烈さが見もの。悲しい女の行き過ぎた行動が、後年に残る残虐性を生んだともいえる。

女性だと共感覚えやすいのが、容姿の衰え…。彼女が自分の手をみて隠すという行為をするのが、とても現実的で、女性のみなさん身に覚えはありませんか?ってな感じです(手って年齢が出やすいよね)。老いることへの恐怖は、女性なら他人事では済まされないものです。そして彼女が本当に偶然の出来事をきっかけに、処女の血が美しい肌を得る秘薬と思い込むと…。

「ポーラ、あなたを覚えてる。走って逃げなさい!」と叫ぶところは、わかっていながらもとめられない彼女の真実の気持ちの一部だったのかも。
歴史は勝者によって語られるというのがテーマなのかもしれませんね。実際のところ彼女がどんな事をしていたのかは誰もわからないし、行き過ぎた女の情念を良しと思わなかったトゥルゾ伯爵(イシュトヴァンの父親)がほとんど画策した噂に尾ひれ状態だったのかもしれないですもんね。

少々地味な印象のエリザベートでしたが、逆にそれが生々しいある程度年をとった女性像のような感じで、とってもリアル。莫大な財産と権力を持つ教養豊かな出来る女でも、愛を知れば変わっちゃうんですね~。