いやいやえん@引っ越しました!

映画・DVDの感想ブログです。個人の感想なのでネタバレしています。

12人の怒れる男

【概略】
養父殺しの容疑を掛けられたチェチェン人少年の裁判。明らかに有罪と思われていた裁判は、ひとりの陪審員が疑問を投げ掛けたことから二転三転していく。
ドラマ


.0★★★★☆
ロシア版「12人の怒れる男」です。
人種差別、貧富格差、戦争などの現代問題も絡めつつ、最初は一人だった無罪主張の陪審員が次第に1人2人と増えていく展開は同じ。ただ、ロシアではこうなのか、あまり裁判がしっかり行われている感じがしないんですよね…。
とはいえですね、この陪審員たちの様子などは最初から興味深いです。最初はみんな有罪だとわかってて早く帰りたいんですよね、そのあたりがとてもリアル。死刑になるわけではなく一生刑務所、犯罪をおかしたなら当然だと誰もが考える。意見が分かれたあとの彼らの間に流れる緊張感みたいなものが非常によかったですね。そして一人の意見からもう一人、というように無罪を主張する人間が増えるにつれ、彼らの意見も次第に変わっていく展開はなかなかに面白い。
一人目は特にはっきりとした理由はなかったのですが(自分達の意見で人の一生を決めることに対する防護策的)二人目の指摘「弁護士がやる気がなかった」はなかなか面白いところをついてくると思いましたね。
この事件についての少年が100%有罪という証拠というのが、非常に証拠としては薄いんですよ。それを陪審員の一人が指摘するんですが、次第に陪審員たちがこの事件に熱中していく様子が、観ているこちらとリンクする感じ。
物語背景は非常に難しい。戦争や差別などの社会背景が色濃く出ています。少年の描写自体はそう多くはないのだけど、ラストのメロウで軽快な民族舞踏シーン(少年時代の過去と牢獄の中で踊る彼)と陪審員達の彼を思う気持ちなどが重なって、物凄い感動に襲われました。少年の評決は無罪。もちろんこのままでは彼は殺されますが…、この途中で終わっている所(完全に悪が暴かれない形)も余韻が残り非常によかったです。
人を裁くということはどういうことか。日本でも陪審員制になりましたし、興味深い作品だと思います。