いやいやえん

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個人の感想なのでネタバレしています

あいつの声

【概略】
1991年の韓国・ソウル。人気ニュースキャスターのハン・ギョンベと妻オ・ジソンの一人息子であるハン・サンウが誘拐される。犯人からの要求は身代金1億ウォン。しかし狡猾な犯人はなかなか姿を現さず警察の捜査は行き詰まり事件は長期化をたどっていき、ハン・ギョンベは焦りを募らせていくばかり…。
サスペンス


.0★★★★☆
苦々しい気持ちにさせられ、後味もとても悪いのですが、モチーフにされている実際の児童誘拐殺人事件(イ・ヒョンホ 君誘拐殺人事件)そのものが、理不尽極まりない出来事。この作品を観て抱く不穏で憎々しい感情は事件そのものに向けられています。
ニュースキャスターのハン・ギョンベの一人息子サンウが行方不明になり、その後誘拐犯から1億ウォンを要求する脅迫電話がかかってきます。犯人は警戒心が強くなかなかその姿を見せようとはしません。お金さえ渡せば息子は帰って来ると信じて言われたようにするものの、細かいすれ違いで取引は不成立。一方、息子を奪われた妻ジソンは夫に無断で警察に通報してしまう。
その後も犯人は何度も交渉の電話をかけてくるのですが、手がかりすら残さず警察も捜査に行き詰まる。
結局、実際の事件通りに最悪の悲劇を迎えてしまう。誘拐とは、さらわれた人間が生きているかどうかすら判らない不安の中、犯人に従わなくてはならない悲壮な事件。きっと生きているという希望だけが頼り。カン・ドンウォンさんの「声」が、まるでゲームでもしているかのようなのが、この映画の悲壮感を更に強くします。
誘拐から44日目、サンウの変死体が漢江近くで見つかる。サンウは誘拐されたその日に窒息死させられていたのだった。悲痛な助けを呼ぶ声も全て録音だったのだ。母親につけさせられていた万歩計の数字はたった「144歩」だった…。
遊園地に走って向かう際の「神様一度だけです」と、ラストシーンでニュースキャスターとしてギョンベが自分の息子の事件を報道する姿。一人の人間として、父親として、胸に残る思いを必死に伝えようとする姿には涙なしではみれなかった。
「あいつ」はまだどこかにいる…。とても許せない事件のひとつですね。

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