いやいやえん

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悪魔の手毬唄

【概略】
岡山県鬼首村で次々と起こる奇怪な連続殺人事件。静養のため村を訪れた金田一は、いずれの事件も村に古くから伝わる手毬唄に見立てられていることを知る。
サスペンス


.0★★★☆☆
古谷一行が金田一耕助に扮した、横溝正史原作ミステリーのTVシリーズの一作、全6話。
原作でも好きな作品のひとつです。このドラマ版のなにがいいって、あの夏目雅子さんが大空ゆかり(別所千恵子)役をやってるってことですね!
歴史を感じさせる家屋、古臭さがたまらんのです。今制作したってこんな時代を感じる映像には出来ないでしょう。
岡山と兵庫の県境、四方を山に囲まれた鬼首(おにこべ)村。この地に昔から伝わる手毬唄が、次々と奇怪な事件を起こす。そして事件を探るうちに、20年前の事件が浮かび上がってくる…。
原作での相棒は磯川警部ですが、日和さんに変更されています。原作と同様夏を舞台にしているのもいいですね。(映画の市川版は冬だった)
とにかくあの、不気味な手毬唄でしょう。かえされた=殺された、です。(以下TV版。原作と若干異なります)

(一)うちのうらのせんざいに 雀が三羽止まって

一番目のすずめの言うことにゃ 言うことにゃ

おらが在所の陣やの殿さん 狩り好き 酒好き 女好き

わけても好きなは 女でござる

女誰がよい 升屋の娘 升屋器量よし蟒蛇娘

升で量って 漏斗で飲んで 日がな一日酒浸り 酒浸り

それでも足りぬとて かえされた

(二)うちのうらのせんざいに 雀が三羽止まって

二番目の雀の言うことにゃ 言うことにゃ

おらが在所の陣屋の殿さん 狩り好き 酒好き 女好き

わけても好きなは 女でござる

女誰がよい 秤屋の娘 秤屋器量よし 爪長娘

大判小判を秤にかけて 日なし勘定に夜もふけて 夜もふけて

寝る間もないとて かえされた

(三)うちのうらのせんざいに 雀が三羽止まって

三番目の雀の言うことにゃ 言うことにゃ

おらが在所の陣屋の殿さん 狩り好き 酒好き 女好き

わけても好きなは 女でござる

女誰がよい 錠前屋の娘 錠前屋器量よし 小町でござる

小町娘の錠前がくるた 錠前狂えば鍵合わぬ 鍵合わぬ

鍵が合わぬと かえされた


由良家の「枡屋」、仁礼家の「秤屋」、別所家の「錠前屋」の屋号と、複雑な人間関係が、6話もあると、理解しやすく整理されていくのが良い。謎解き部分が非常に丁寧です。
相変わらず手間のかかる回りくどい手口ですが、金田一シリーズはそこがいい。
山上で出会う老婆おりん。これによって事件が幕を開けるんですね。お庄屋殺し(サワギキョウ)にサンショウウオ、童謡殺人に山間部の孤立した集落。田舎の民話・因習的なおどろおどろしさには妖気のようなものがある。
歌名雄をめぐる女優陣も注目~。泰子と文子、どちらも美女ですが、私は里子役の池波志乃さんが良かったわあ。
妊婦が火に近づくと生まれてくる子に赤痣がつくという言い伝えがあると序盤で多々羅放庵が言いましたが、それはイコール20年前のあの殺害現場に青池リカもいたということを指してもいるのですよね。そう、それは発見したのではなく、里子を身篭っていたリカが囲炉裏の側で夫・源治郎(実は詐欺師の恩田でもある)を殺害したことを知る放庵だけが言える台詞です。事件の全貌が分かると、哀しい結末に重みが加わります。
里子は身を犠牲にしてリカをとめようとゆかりの身代わりになり、それを知らない犯人は実の娘を殺害してしまう悲劇。結局事件は村の青年たちの出生の秘密が直接謎の核心に迫るもので、でもただそれだけではない女の情念が哀しいのです。
この金田一シリーズの小説は探偵の八面六臂の活躍ではなく、おどろおどろしい猟奇的殺人の描写が見どころになっていて、探偵は事件の裏にある事情を飲み込む人間味が肝なんだと思います。

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