いやいやえん

映画・DVDの感想ブログです
個人の感想なのでネタバレしています

ある殺人に関するテーゼ

【概略】
アルゼンチンのロースクールで教鞭を執る弁護士のロベルトは、自分のゼミに旧友の息子で優秀な生徒ゴンサロを迎えるが、彼はなぜかロベルトを挑発するかのような行動を取り始める。ある日の講義中、大学構内で強姦殺害された女子学生の遺体が発見された。考えられる犯人像にゴンサロが近いと疑惑を抱いたロベルトは、独自に調査を進め残忍な犯行の足跡を辿る一方、犠牲者の妹ラウラに好意を抱き、徐々に親しくなっていくのだが…。
サスペンス


.0★★★☆☆
講師を務める犯罪プロファイラーの男、犯人像として浮かび上がった教え子、被害者の妹で魅力的な女性。彼らに待ち受ける過酷な運命の結末とは!?
映画自体はロベルトの視点から描かれており、その見解が正しいのか否かを観る者が判断する態になっている。
ゴンサロが殺人を蝶に例えて話したこと、被害者の女性が蝶のネックレスをしていたこと。そして犯人が残した「彼女に似た女は殺す」というメモ、被害者の女性はどこかゴンサロの母親に似ていたこと。こうした事が、もうロベルトの中では決定的な事実となって早い段階でゴンサロが犯人だと思い込んじゃってるんだよね。
しかも薬局の67ペソ分のレシートの件もある。ここは強引過ぎではあるが、見せ方は上手い。犯行に使われたゴム手袋、ホルマリン、注射器を購入するが67ペソには足りないので、レジ脇にあったゴンサロがいつも舐めているミントタブレットを追加すると、ピッタリ67ペソになる。なるほど、それで67ペソかと思わせられもする。
元妻で精神分析医のモニカもロベルトを「キザで精神年齢が幼い」といっていたし、「あなたは自分の想像に当てはまる情報だけ集めた。彼を犯人と裏付けることでしか見ようとしてない」「あなたは自分が正しいと証明したいだけなの?」とも言われる始末。人はやはり自分の見たいものしか見ようとしないのだろうか。
ロベルトは、旧友の妻であるゴンサロの母親とかつて不倫関係にあったことで、二人が父子である可能性もあり、その後ろめたさがロベルトに客観性を失わさせてしまったのではないだろうか。
強姦殺人事件の犯人をゴンサロだと、あまりにもゴンサロに執着してしまっているロベルトの様子と彼の判断は、有罪・無罪の判断の有効なツールは「すべては細部(DETALLES)にわたっている」と講義で説くロベルトとはあまりにも違っている。実際に薬局で買った内訳がわかったレシートの件もある。捜査方法や考え方などが身勝手で独善的にもみえるロベルトが見誤った可能性はかなり高いだろう。
つまりゴンサロは「推定無罪」であり、似た人物が犯人である可能性が高い、ということ。
ゴンサロとラウラのあとをつけたロベルトには、ゴンサロが今にもラウラをペーパーナイフで刺そうとしているように見えた。ロベルトはゴンサロをボコボコにし、警察に捕まる事になる。しかし、ゴンサロの手にナイフはなかった。
ゴンサロは犯人じゃないと見方を変えてみろ、といわれる。ゴンサロは殺人が起きたときにロベルトの講義にでていた、ロベルトから被害者の妹を紹介された、尊敬するロベルトの目を引く題材でレポートを書いた…。
それでもロベルトは信じようとはしない。犯人は、ゴンサロに決まっている、と固く思い込んでいるのだ。
そしてラストで彼がみるものは、炎の中で焼かれているペーパーナイフのイメージ…そう、もやもやとする終わり方なのですよ。エッここで終わるのかよ!と突っ込みたくなりますが、こういった疑惑と事実がごっちゃになって、主人公が不幸な結末に達するのが、こういってはなんだが面白かった。
結局犯人はわからずなのですが、原作ではどうなのか、気になるー。

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