いやいやえん

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ある戦慄

【概略】
深夜の地下鉄に乗り込んできたふたりのチンピラが、たまたま居合わせた乗客たちを挑発。やがてその嫌がらせは限度を超えたものとなり始め…。
サスペンス


.0★★★★☆
アメリカの深夜の地下鉄というと、もうすっかり怖いものの対象となってると思うのですが、この時代ではそうでもなかったのですね(少女を連れてたり年老いた夫妻がいたり)。
迷惑なチンピラ達の行動に誰もが見て見ぬ振り、というのは現代にも通じる。別にチンピラじゃなくてもいい、迷惑な乗客っているものだ。このチンピラ二人が乗客1人1人を蹂躙し恐怖に陥れる密室型群像劇なのだけれど、乗り合わせた乗客たちがまたアメリカ社会の縮図のような形態であるのが面白いところ。黒人やゲイなど当時の社会的弱者がその中にいる。
町夜をさまようチンピラ二人ジョーとアーティ、10分弱で流れるタイトルがまたセンスいい。
みんなが一致団結すればこのチンピラを押さえつけることができても、各人の感情が複雑に絡んで、もし何か起こったときのその責任の一端が自分にも降りかかる事を考えると、なかなか行動に移せないもの。また行動を起こしても周囲が協力してくれるとは限らない。逆にもっと悲惨な状況になる可能性が高いのだ。それが正義であったとしてもリスクを冒してまで立ち向かう意味もあるのかどうかわからない。誰しも「もし自分がそこにいたら…」とリアルに考えてしまい、精神的につらくなる作品だと思う。

車両に乗っている者は、眠った酔っ払い、眠った娘を抱える夫婦、若いカップル、老夫婦、休暇中の若い兵士2人、教師とその妻、アル中の男、ゲイの青年、黒人夫婦。そこに、今しがた強盗してきたばかりの二人組みが乗り込んでくる。
アル中の男が「やめろ」といった後から乗客の一人一人に絡み始め、それぞれに萎縮させられるばかり。逃げるにも逃げられない。
前半はキャラクター付けと中盤以降はほとんどが車両内の出来事なのだけれど、戦慄を覚えるのは、恐怖が去った後のことだ。ボー・ブリッジス(ジェフ・ブリッジスの兄)が負傷した帰還兵を演じているのだけれど、実質皆を助けて刺されたこの軍人を見て、正直関わりたくないと思うリアルな人間心理行動が見事すぎる。大丈夫かと声をかけたのはひとり。タイトルの戦慄とは恐怖そのものよりこの人々の無関心の部分をさしているのではないかな。
ジョー役の方のもみあげが特徴的でした。

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