いやいやえん

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ウエイト 呪われし存在の重さ

【概略】
遺体安置所の職員・チョンは、遺体をモデルに絵を描き想像を膨らませることを生きがいにしていた。ある時、彼は性同一性障害の義弟・ドンべと出会い、愛情を抱くようになる。
ドラマ


.0★★★☆☆
遺体安置所で誠実に働くチョン。結核と関節炎の薬が欠かせない。しかし彼にとって遺体は丁寧に洗って美しく装い仕上げる幻想的な作品であった。遺体と対面するたび、彼らの生前の姿を思い想像を膨らませるのだが、それは彼の生きる喜びでもあった。
脊椎後湾症という病気で生まれて孤児院に放置されたチョンは、ドレスショップを経営する女性の養子として育ったが、それは奴隷のように使われるためだけの生活だった。しかしそこで義理の弟ドンベと出会う。ドンベは性同一性障害で女になることを熱望していた。二人はやがて共感と愛情を抱くようになる…。
ドンベの性転換手術の費用を貯金する日々のチョンだったが、荒れた生活をするドンベとの関係は愛憎半ば。そんなある日、ドンベがチョンのもとに運ばれてくる。チョンはドンベのために、最大最高の贈り物を静かに準備するのだった…。
淡々とした作業と、遺体安置所という舞台や遺体などのグロテスクさだけではなく、唐突に訪れるエロティックには驚かされますが、安置所に運ばれてくる人々の人生の終わりをブラックユーモアを織りまぜて映している点はなかなかファンタジックでもあり、面白い。暗い現実の中に幻想的なCGを挿入するのも良かったです。人の「闇」の部分を遺体安置所で働くチョンという人物を通して見せていく、そしてその彼の愛情。この二つを対極に描く事で、人間の色々な側面を感じられるというのが、とても面白い。
「ノートルダム・ド・パリ(ノートルダムのせむし男)」がベースのようで、せむし男であるチョンが抱くドンベへの愛情がなんとも切ない。
実は笑ってしまうような不可思議なダンスシーンもあり、尚更脚本の巧さを感じずにはおれない。緩急のついたストーリー展開とグロティック・ファンタジーの局面に思わず引き込まれてしまう。
見る人を選ぶキツイシーンなんかも確かにありますが、ラストのドンベの遺体の性器を切り取り、望みどおりの女性にしてあげて写真を撮り憧れていたドレスを着せ、「彼女」と共に棺おけに入るところまで、一気に見る事が出来ました。
一人じゃ寂しいのではなく、一蓮托生のように考え「一緒に死なない?」というのがドンベにおける最高の愛情表現だったのかな…と思うと、ある意味でチョンも報われていたのやも…。

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