いやいやえん

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個人の感想なのでネタバレしています

ソング・オブ・ザ・シー 海のうた

【概略】
ある晩、幼いベンはお母さんに海の歌が聞こえる貝の笛をもらう。ベンは笛を大事に抱いて眠りにつくが、目を覚ますとお母さんの姿はなく、赤ちゃんが残されていて…。
アニメーション


.5★★★☆☆
アイルランドのセルキー伝承をもとにした物語で、まるで童話の本を一枚ずつめくるような感覚にとらわれます。
ベンの母はアザラシの妖精でした。人間の父との間に生まれたベンはアザラシと人間のハーフですが、どちらかと言えば人間の血を色濃く引いています。それに対して妹のシアーシャはアザラシの血を濃く引いていました。母親はシアーシャを産むと、消えてしまいます、海の音のする貝殻を残して…。
ベンの母への恋しさは、やがて母と引き換えとなった妹に憎しみのような感情を抱かせる。しかし妹の出生には秘密があり..。
ベンはくちのきけない妹をいじめてばかりいるのです。それは、母親がいなくなったのは妹のせいだと思っているからであり、父も母の形見である妹ばかりを可愛がり、息子への関心が薄くなってしまっていることを本人も気づいていない事に息子自身が気付いてしまっているから。
この作品は「受け入れる」ということの大切さを学んでいく物語でした。
妹のシアーシャは障害者のように描かれている。「最良である」と言う事を独善的に思い込んでいるキャラクターたち(祖母、父親、マカ)は、それぞれが最良であるために行動する。そのため困った事になったりなにかに依存してしまっていることに気付かずに。
幻想的なのに、語られるストーリーは実は凄く身近で共感せずにはいられないものでした。
私には知的障害と身体障害を持つ姪っ子がいるので、その兄妹をまず真っ先に思い浮かんだよ。小さい頃は一緒にいつも仲良くしていたのに、気付くと、兄が妹を邪険に扱っていた。思春期だし、そういうお年頃(他と違うものを受け入れられない)とは思ってはいても、妹である姪っ子が不憫でなりません。お兄ちゃん大好きっ子だから。
それでも気付くと一緒にいるので、ベンとシアーシャみたいに本気で仲は悪くはないのでしょうが、他人にきっと「障害者の妹」がいることをあまり知られたくないとは甥っ子は思っているのでしょうね。「汚い、恥ずかしい」とか、そういう言葉をかけているところも目撃しています。知的障害をもつ姪っ子はそういうのがまだ理解できずわからないし、「ありのまま」の自分自身しかもっていない。
逃避してしまえば辛くなくなる。誰だってそう。辛い事からは逃げ出したい。でもこの物語のラストでは、様々な困難を乗り越えて、兄妹の関係も徐々に変わって行きます。そしてシアーシャは父親が捨ててベンが取り戻した命を繋ぐセルキーのコートを着る事になります。その先には家族の再生が。家族を引き裂いていた辛い思い出ともう一度向き合いそして新しく始められた彼らの絆は、以前よりもずっと強いものになっているでしょう。「愛しい子よ。忘れないで。物語や神話の中に、私はいるわ」。涙で前がみえなかった…!
甥っ子と姪っ子の間でも、同じような化学反応がいつか起きればいいなと伯母さんは思わずにいられません。

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