いやいやえん

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ククーシュカ ラップランドの妖精

【概略】
1944年、戦争により傷ついたフィンランド人とロシア人兵士を、先住民族・サーミ族の未亡人が助ける。彼らは一緒に暮らすことになるが…。
ドラマ


.5★★★☆☆
第二次世界大戦末期、ラップランドではロシア軍・ドイツ軍、そしてドイツと同盟を結んでいたフィンランド軍が戦っていた。(フィンランドが大戦中ナチスと同盟していたなんて知らなかった!)フィンランド軍の狙撃兵ヴェイッコは戦闘を放棄すると表明し、怒った戦友らからドイツのSSの軍服を着せられた上(ロシア軍の標的となりやすくするため)、鎖で大岩に繋がれたまま置き去りにされる。一方、ロシア軍大尉イヴァンは反体制派の濡れ衣を着せられて、秘密警察に逮捕され軍法会議にかけられるため車で護送中、味方の戦闘機に誤爆され瀕死の傷を負うのだが、その地に暮らす未亡人アンニに一命を取り留められる。やがて、自力で鎖を解き放ったヴェイッコもまたアンニの棲み家の戸を叩き、言葉の通じない奇妙な3人暮らしが始まるのであった。
言葉の通じない3人の会話、字幕表示で鑑賞者は何ていっているのか意味が分かるが、あまりにかみ合っていないのが面白い。最後までイヴァンがクソクラ呼ばわりなのも笑える。
日本人なら…というか外国人でも、言葉が通じないとわかったら、ジェスチャーを試みたり、色々と単語を照らし合わせたりしようものなのだけれども、この3人は言葉が通じないなら通じないで、3者3様言いたい事をポンポン口に出していく。この奇妙さが、実に味がある。怒鳴りあったり、笑ったり、わからないのをいい事にちょっとエッチなことも呟いてみたり(アンニ)と、なんというか自由なのだ。
アンニをめぐる三角関係を背景に、言葉が通じないことで誤解しイヴァンに撃たれたヴェイッコを、アンニはその地方に伝わる伝承をなぞり、やがてアンニは見事にヴェイッコの魂を呼び戻すことに成功するのである。ここのヴェイッコの描写はまさに日本人感覚で言う三途の河原とでも呼びそうな、積み上げれた石と、石だけが転がっていて草木ひとつない殺風景な丘だった。
そして未亡人のアンニはお堅い喪服の美女なのではなく、性にもおおっぴらな素朴な女性でもあった。ヴェイッコとイヴァン両方とちゃっかり関係を持ち、10年後に二児をもうけてたあたり、なんとまあ明るいというか肝っ玉というか。北欧独特の牧歌的な雰囲気のなか、笑いを交えながらも、理解という難しい事柄を難なくやってのけた本作は逞しい1人の女性アンニがいなければ成立しない話であったろう。
ラストではイヴァン(クソクラ)とヴェイッコ、二人の名前を付けられた二人の子供が、彼女の話す物語に耳を傾けていた。

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