いやいやえん@引っ越しました!

映画・DVDの感想ブログです。個人の感想なのでネタバレしています。

さよなら、アドルフ

【概略】
敗戦直後の1945年ドイツ。ナチ親衛隊の父と母を連合軍に拘束され、置き去りにされた14歳の少女・ローレ。彼女は幼い弟妹たちと共に900キロ離れた祖母の家を目指し、ドイツ縦断の旅に出るが…。
ドラマ


.5★★★☆☆
ドイツ・ナチもの映画ではありますが、ナチ高官家族の「被害者」としての視点から描くことによって行き着くところまで行った感じですね。まさしく、戦争という物事のの怪物性を構成するのは、普通の一般人なのだということが現れていると思います。
ナチ高官と思われる父親、医療に携わる母親。ヒトラーを崇拝し、ドイツの完全勝利を信じて疑わないヒロイン・ローレ。しかし、1945年5月にドイツが連合軍に降伏すると、両親は連合軍に拘束されてしまいます。
残されたローレら子供たちは、祖母の住むハンブルクへと旅立ちます。子ども達の中には赤ん坊もいて、大人達は赤ん坊を引き取らせてくれとローレに懇願する。赤ん坊がいると、敵の占領軍が何かと便宜を図ってくれるから。そこには「価値観の崩壊」が描かれていた。
身分証も持たず子供達だけで旅するのは過酷なんてものではない。行く先々で、街は破壊されており、死体を見かけることも稀ではない。死体の所持品を探ったりもしなければならない。道中、新聞でナチスドイツによるユダヤ人大虐殺の事実を知り、ローレは両親がそれに加担していたことを察し衝撃を受ける。
旅の途中知り合うユダヤ人青年。最初は当時のきちんと教育をうけた子女らしくユダヤ人に対する蔑視がありつつも、次第に彼を頼りにする姉弟たち。しかし青年に懐きすぎたことで弟の一人が銃の流れ弾に当たって命を落としてしまう。しかもユダヤ人青年がもつ身分証は、実は他人の身分証と許可証であったのでした。それがわかるのは青年が姿を消してからだったのです。
そしてなんとか祖母の家まで辿りく事が出来ますが、それまでの旅の過酷さと国の実情を知ってしまったローレには、最早なにものも信じる事ができないのでした。
最後まで手放さずに持っていた家族の思い出の品を粉々に壊すローレ。その虚ろな瞳が、物悲しく、ラストに余韻を残します。