いやいやえん@引っ越しました!

映画・DVDの感想ブログです。個人の感想なのでネタバレしています。

SHAME -シェイム-

【概略】
N.Y.に暮らす独身男・ブランドンは、仕事以外の時間すべてを性欲処理に注ぎ込んでいた。性欲を介してしか人と繋がることができない彼の下に、激情的な性格の妹・シシーが転がり込んでくる。
ドラマ


.0★★★☆☆
社会のなかで成功し、経済的には全く不自由していないブランドン。しかし彼は精神的には満たされない日々を送っていた。あらゆる性行為に身を染め、それでも求めても得られない「なにか」。行為中の彼の顔は苦悶にうつり、快楽ですらない。まるで自分で自分に罰を与えているよう。そんな中、彼のもとに妹シシーが転がり込んでくる。
最初はこの妹への絶対に報われてはいけない愛に苦しんでいるのかと思ったんですよね。彼が唯一愛情という絆を深められる相手が彼女だけだから。しかし、そんな簡単な話ではなかった。

恋愛依存症の妹、セックス依存症の兄。この二人に絶対的にかけているものが愛情。彼らが育ってきた背景を考えさせられるけれど、愛というものがわからなくて。体が繋がる事で心も繋がると思ったけれど、ただ虚しいだけで。そしていざ心も繋がろうと思った時には、それが出来ない。
ブランドンがシシーに苛立つのは、本当は自分も愛情という繋がりが欲しいからだろう。しかしそういう生き方が彼には出来ず、拒否して突き放したりしながらも、妹を理解できるのは自分だけと思っている節すらある。それはひとつの愛情だ。劇中では彼らの過去は一切明かされないが、おそらく、二人は過去に関係を持ってしまっていたのかもしれない。それは互いを慰めあうようなもので、家庭環境に起因しているものかも。しかし、一度(か何度か)の禁忌が彼の愛情というものをシャットダウンしてしまった。ただの兄妹というには、台詞が意味深でそんな風に考えちゃったよ。

性欲処理なら出来るけれども、他人との心の繋がりは別。シシーが求めるものも強い自分に向けての愛情、それは恋人に求めるには重過ぎるもので…。この二人、性癖は別でも基本的に似ているのですよね。
ブランドンを演じるマイケル・ファスベンダーの表情が素晴らしかった。焦燥し、虚無感にあふれる哀しいその姿。うっとりとして見てしまいました。孤独に抱え込んでしまう深い心の闇や依存や渇望などの複雑な心理もしっかり感じ取れる作品になってました。
ラストで自分を誘う女性を見るブランドン、彼がみているものはその透けた性なのか愛情なのか、そこから動かない事で観客に想像させる手法は良かったと思います。でも、多分彼は誘いに乗った。依存症で止められないから。それこそがSHAME(恥)なのかもしれないけど。
満たそうとしても満たせない、埋められない心の隙間は、現代人の問題なのかもしれません。それにしても映倫さん、ボカシいらないっすよ!