いやいやえん@引っ越しました!

映画・DVDの感想ブログです。個人の感想なのでネタバレしています。

少年は残酷な弓を射る

【概略】
作家のエヴァが授かった息子・ケヴィンは、なぜか幼い頃から母親であるエヴァにだけ反抗を繰り返し心を開こうとしなかった。やがてケヴィンは美しく賢い完璧な息子へと成長し…。
サスペンス


.5★★★☆☆
タイトルの「残酷な弓を射る」という表現がいいですね(でも直接的表現だとは思わなかった)。母親への異常な悪意と執着心を持つ息子と、彼に戸惑う母親の関係を綴ったサスペンス作品です。
序盤で憔悴しきったエヴァの視点から、過去をを断片的に挿入させながら息子との関わりを明かしていきますが、その息子ケヴィン役のエズラ・ミラーさんが実に瑞々しく美しい青年であります。
赤ん坊の時から自分に全くなつかないその裏には、望まなかった妊娠から子供を持つ母親の不安や拒絶などの感情を究極に察知し、自分が愛される事を、注目されたい事を極限まで突き詰めていった感情があったのではないか。とはいえあそこまで極端だと異常ではありますが。
ケヴィンが母親から聞かされて唯一興味をもった「ロビン・フッド」の話であんな惨劇が起こるとは、誰も予想していなかった。
エヴァ役のティルダ・スウィントンさんが素晴らしく良かったですね!工事音のほうが良く聞こえるほど育児ノイローゼ気味になってしまうような感覚とか、息子に対する微妙な心の動きが良かった。加害者家族側の周囲からの対応や感情ってこうなのかもしれないと思わせるだけの説得力もあった。
「慣れるのと好きなのとは違う、ママもそうでしょ?」この言葉が印象的でした。ケヴィンは恐ろしい子ではありますが、その裏には愛情を求めてやまない感情がやっぱりあったような気がする。
一瞬だったけど妹のペットのモルモットが可愛かったな。配水管に詰まっていたのはそのモルモットでしょうね。そして妹も片目を失う事になる…それは配水管の溶剤のせいなのだけれど、おそらくどちらもケヴィンがやったのだ。そして件の事件。それに夫と妹の殺害も。
精一杯愛情を注いだはずなのに、なぜ自分に懐かなかったのか。なぜこんな事になってしまったのか。
ラストには「なぜ?」と問いかけてやまない母親の心境が胸に突き刺さるほど伝わってきますね。