いやいやえん@引っ越しました!

映画・DVDの感想ブログです。個人の感想なのでネタバレしています。

シリアの花嫁

【概略】
イスラエル占領下のゴラン高原・マジュダルシャムス村。シリアの人気俳優の下に嫁ぐ村の娘モナとその家族は、決意を胸に軍事境界線へと向かう。ところが、そこで思い掛けないトラブルに見舞われ…。
ドラマ


.0★★★☆☆
境界のあちら側こちら側で拡声器を使って家族の無事を知るという日常…こういう民族状況を考えてしまうと、わたしたち日本人はなんて自由で幸せなんだろうと思いなおす。
イスラエル占領下、軍事境界線をわたってしまえば二度と祖国に戻れない。花嫁となる次女モナにとっては、婚礼日でありつつも家族とは永遠の別れとなるという日。しかも夫なる俳優とは一度もあったことがない。

父親はデモへの参加のため投獄されていたこともあり警察に目をつけられていて、長男はロシア人と結婚したため家を追い出されている。次兄は怪しげな商売をし、三男はずっと戻れない状態。長女自身は自立を目指す先進的な女性。夫は保守的で娘の恋も前途多難。
世界情勢、民族問題や国柄などで縛られている家族。次兄の言う軽口がせつない。「俺が里帰り用のジェット機を送ってやる。操縦も教えてやる」。わかってる、そんなことは無理なこと。
しかしいざ境界まで来て、モナの出国スタンプが認められないというまさかの展開。ここにも国家的政治的思惑というのがあって、たかだか1つのスタンプが、国家間の軋轢を感じる要素に。中東戦争で分断され、イスラエル国籍をとらなかった者は無国籍扱い。今はイスラエルは撤退し国連の監視下にあるようですが、そこに住む彼らにとっては、自分たちは何者なのか、という気持ちが常にあるのではないでしょうか。

決意した花嫁モナは一人で境界線を越える。向こう側の境界線を超えられたかどうかまではわからない。けれど、彼女の行動は姉アマルにとっては、一人の妹を失う悲しみと共に希望の前進にほかならなかったでしょうね。父親の言葉もモナに勇気を与えたのかもしれない。
アマルたち家族のくら~~い表情と正反対の花婿側のお気楽描写が、むしろ国境時に不安を緩和してくれる要素になっていましたね。ここでモナが初めて笑顔をみせるの。
家族の一日の話ではあるものの、ラストは胸にせまるものがありました。曲も上手いなぁ。