いやいやえん@引っ越しました!

映画・DVDの感想ブログです。個人の感想なのでネタバレしています。

しわ

【概略】
かつて銀行に勤めていたエミリオは、認知症の症状が見られるようになり、養護老人施設に預けられる。
アニメーション


.5★★★☆☆
人は老いて、その顔にはしわが刻まれるようになる。それは必然の事。
終の住まい、認知症など、老いについては考えさせられる事もあるのだけれど、この作品ではそういったものをテーマにしつつも、友情を描いていて良かった。
老いという人間の痛みを包み込んだ作品で、認知症(昨年亡くなった祖父が認知症で自宅で看てました)なども巧く盛り込んで、その姿は実に哀しい。
元銀行員のエミリオは、認知症が進んだため養護施設に預けられます。同室のミゲルは抜け目のない人物ですが、その彼が2階へ追いやられるエミリオの事を考えての友情には泣けました(2階にはエミリオがいうところの「壊れた」人たちが過ごしているのです)。
老いは、悲しい。私は祖父の面倒を看る事で、老いは嫌だと痛感しました。誰でもいつかは老いるものですが、それでも嫌だ。どう生きるか、ただそれだけでも難しいのに、自分が自分でなくなっていくのは恐ろしいものです。人間性が失われる。
「食べて寝てクソするだけ」ミゲルは序盤にそういいますが、確かに、老人になるとやることはなくなるし、実際そういう生活をすることになるんですよね。よほど趣味でももっていないと、明るい老人生活は無理。「家族に迷惑をかけたくない」から施設に入った女性や、家族に預けられたエミリオ、施設にはたくさんの老人たちがいます。
ここではきれいごとは通用しないぞ、いかに沈没せずにいるかを考えろ。確かにそうかもしれない。エミリオの姿をみるにつれ、祖父を思い出してたまらなくなりました。酷いことばかり、思い出してしまう。誰もそんな人生送りたくないよね。自分の老後をどうしたらいいのか、考えさせられる作品になりました。
エミリオが、財布がない時計がない靴下がないと騒ぎ、それをミゲルがやったかのようにミスリードさせておいて、実は認知症による「自分が隠した」というのを忘れていただけだったのがわかるシーン、祖父も同じだったので非常にショックな場面でした。最後のエミリオの哀しげな笑顔が胸を衝きます。