いやいやえん@引っ越しました!

映画・DVDの感想ブログです。個人の感想なのでネタバレしています。

回転

【概略】
田舎の屋敷に住む子供の面倒を見ることになった家庭教師・ギデンス。住み込みで働くことになった彼女の前に、ある日見知らぬふたつの人影が現れる。
スリラー


.0★★★☆☆
残酷な狂気が加速し回転する…。
主人公のミス・ギデンスにデボラ・カー。その美貌はおいといて、中年にさしかかったしかし毅然としたオールド・ミスの壊れていく演技が素晴らしかった。
普通にゴシックホラーな作品としてみてもいいのですが、本作の根底に流れるのが「性的欲求不満」です。前任者が若いと表現されていたのにギデンスにはそれがない。実はオールド・ミスに一歩足を踏み入れたところ。これも重要なポイントでした。
冒頭で子供たちの世話を頼む大富豪の中年男性に対して、恋心とまではいかないまでも淡い想いを寄せたのが、まずみてとれるんですよね。そしてゴシップ(幽霊の男と先任教師とがただならぬ関係にあったと知る)にこれまたただならぬ関心、興奮、下世話な表情も露呈しています。未婚で恋愛経験の薄い欲求不満を抱えたオールド・ミス。ある意味乙女チックでこじらせ女子。頭の中では色んな妄想が駆け巡っていたであろう事が想像出来ます。
想像。そう、この映画は「想像力」がミソでして、劇中でも「想像力はあるか」と聞かれる場面もあるくらい。性を抑圧された女性のヒステリーが流行してた頃で、某映画でもありましたが、女性の陰部をいじる商売が繁盛していたとの事です。それを考えるに、果たして幽霊はいたのか、彼女の性欲から来る妄想ではないのか、など色々考えられるわけで。なんだか、牧歌的な日常の裏に見え隠れしている禁断の痴情がみえてくるんですよねえ。

一応幽霊譚なわけですが、幽霊が本当にいたのかいなかったのかは明確にされていないし、主人公の視点でだけ存在するのでほとんど問題ではない事。子供達が取り憑かれていると確信し必死に何とか救い出そうとするギデンスの、妄想に取り憑かれてるとしか思えない演出的な恐ろしさ。
結局、この屋敷で行われていた淫らな行為は事実でしょうし、その当事者である使用人の男女と、それを見ていた幼い兄妹の歪んだ関係も事実でしょう。
真相から、美しい兄妹たちに悪意的なものを感じてしまうわけですが、美しすぎるからこそ、そこに潜む邪悪なものの存在がこれまた想像力が働いて浮かび上がってくるのかもしれません。それは「無邪気」という名の邪悪なのかもしれませんね。
ゴシックホラーと思わせておいて、実はスリラー作品なのでした。