いやいやえん@引っ越しました!

映画・DVDの感想ブログです。個人の感想なのでネタバレしています。

影武者

【概略】
「我が死を3年隠せ」という遺言を残してこの世を去った甲斐の名将・武田信玄。重臣たちは信玄の死を隠すため、信玄に瓜二つの盗人を影武者に仕立て上げるのだが…。
時代劇


.0★★★★☆
黒澤監督作品。武田信玄の死の謎と武田家の滅亡にまつわる壮大な物語を描いた長編。
カラー作品なのでやはり白黒時代ほどの素晴らしさはないんですが、とはいえやはりそこはクロサワ、他の監督さんにはない「迫力」があります。冒頭の3人が並んで座っているシーン遠目からのワンカットなんですが、これも素晴らしい。壁の信玄の「影」さえも効果的に思える。
その真偽は別にして、信玄の影武者話は有名ですね。「我死すとも3年は喪を秘し、ゆめゆめ動くな」こうして影武者が誕生することになるんですが、信玄になりきる影に対して不満をもつ勝頼は独断で兵を動かしてしまい…。
黒澤監督の「画」に独特の迫力があるのは勿論なんですが、主役を演じる仲代達矢さんもやはり上手い。仲代さんが画面に出ると空気がいい意味で重くなるんです、風格がありますよね。卑しい盗人が信玄として威厳ある人物に変わる様は見事(ただ、やはり舞台役者さんですよね)。こういうのを見るととくに最近の俳優は「役者」ではないなと強く感じますね。
残念なのは以前のような重厚な作品ではなく、常に緊張し画面に勝手に目がひきつけられてしまうような感覚がなくなってしまっている点。とはいっても大変面白いです。
やっぱり時代劇っていいなあ~~~!!!!
馬の疾走シーンの躍動感いいですよねえ、昔の時代ものならでは。最近の時代ものの疾走が迫力を感じられないのは一体なぜなんだろうか。
人の影として生きることの苦しみが夢でよく描かれています。あの心象風景の不気味さが全て現していますね。動きにくい砂の上、もがいてももがいても自分だけ、戦甲冑姿の信玄が追ってくる。
ラストの長篠の戦いでは、ともあれ馬が素晴らしかった。馬って凄く演技力あんのね!と違うところで感心したり。長篠もそうですが合戦シーン自体はこの作品ではわざとなのか写されていませんね。苛烈な戦描写よりも心の動きなんかを中心に描いたからなんでしょう。ラストで信玄の「旗」が河を流れ、追いすがろうとする影のシーンの仲代さんの表情はこの作品の中で一番良かったです。
どうやら当初はキャスティングが違ったようです。勝新太郎さんを主役に、上杉謙信を三船さんだったみたい。これは…これは是非ともこの配役でも観たかったですー!!