いやいやえん@引っ越しました!

映画・DVDの感想ブログです。個人の感想なのでネタバレしています。

草原の実験

【概略】
少女は大草原に建つ小さな家で父親と暮らしていた。遠い世界へ思いを馳せながらも、少女は穏やかな生活にささやかな幸せを感じていた。そんな静かな日々に突如、暗い影が差してきて…。
ドラマ


.5★★★☆☆
少女がその先に見たもの―。
美しい少女と父が過ごす、ある村の運命。旧ソ連の実話に基づき、歴史の傷跡を描いた衝撃作。
その少女は、大草原にポツンと建つ小さな家で父親と暮らしていた。家の前には家族を見守る一本の樹。毎朝、どこかへと働きにでかける父親を見送ってはその帰りを待つ少女。壁に世界地図が貼られた部屋でスクラップブックを眺め、遠い世界へ思いを馳せながらも、繰り返される穏やかな生活に、ささやかな幸せを感じていた。幼なじみの少年が少女に想いを寄せている。どこからかやってきた青い瞳の少年もまた、美しい彼女に恋をする。3人のほのかな三角関係。そんな静かな日々に突如、暗い影がさしてくる…。

非常に静かな作品で、ヒロインの少女の透明感あふれる美しさに心を奪われ、ラストに突きつけられる驚愕のエンディングに言葉を失う、そんな作品。一切台詞がなく、美しい映像を見ながら、各々の想像力によってシーンを補填していかなければならない。台詞のない美しい映像によるロシア映画と聞けば、実験映画かと思わされるけれども、実際はそうではない。牧歌的でありながらどこかファンタジックな世界観は、にわかに崩壊の予感すら感じさせる。
中盤の軍用トラック。男たちが何かの数値を測るような装置を手にし、小屋の周りと中へと踏み込んでくる。父親は裸のまま外に引きずりだされ全身を調べ上げられた。ベッド下に隠れた少女には男たちは気づかずそのまま立ち去っていく。その日を境に父親の健康状態は悪化。父親は、医者に診せる甲斐なくして死んでしまう。少女は家を出て外へ飛び出すも、遠くの大地は鉄条網に覆われて先に進めない。
そしてついに美しい少女を巡って、幼馴染の少年と白人の少年が決闘。結局ボロボロになりながらも白人の少年が小屋にたどり着き、少女と暮らし始めるのだった。
しかしある日、遠くの空で巨大な爆発音がし、キノコ雲が立ち登る。それは美しい草原だけでなく、美しい少女すらも飲み込みすべてを破壊していくのだった。
そう、この作品は、実際に起こった「その地域は無人」という偽りの情報のもと周辺に一切の警告がなされないままに行われた当時のソ連のカザフスタンでの初の核実験が元になっていたんですね。
まさかそんな話だとは思ってなかったから、ドーンときたよこれ。重いしこりが胸に残った。