いやいやえん@引っ越しました!

映画・DVDの感想ブログです。個人の感想なのでネタバレしています。

父の秘密

【概略】
妻・ルシアを失くした喪失感から抜け出せないロベルトと娘のアレハンドラは、メキシコシティへ引っ越す。新しい土地でやり直そうとする父と娘。だが、それだけでは悲しみが癒えるはずもなく、彼らは心の傷に向き合わないまま他愛ない言葉を交わすだけの関係になっていく。アレハンドラは新しい学校で友だちもでき、楽しく過ごし始めるが、酔った勢いで関係を持った男子生徒に行為を盗撮され、それをネットにアップロードされたのがきっかけで、いじめの標的となってしまう。しかし、喪失感で仕事もままならない父親に、いじめられていることを告げることができず、苦痛な日々をやり過ごすしかなかった。そして、ある日、彼女は突然姿を消した。
サスペンス


.0★★★☆☆
妻を亡くした男ロベルトが娘アレハンドラとともにメキシコへ移り住む。心機一転やりなおそうとしたその土地で、娘に起こったのはある事件によるいじめだった。
娘と父親の一見仲が良さそうにみえる「互いに踏み込まない」関係が、苦しさをさらに生んでいたのかも。妻の死という不幸な出来事をきっかけに暗転していく父娘の姿を淡々と追った作品なのですが、人物の心理を表すシーンは殆どなく残酷な事実のみを露にしてる感じは、とてつもない後味の悪さを感じました。
アレハンドラへのいじめがあまりにも陰鬱で、且つ抵抗できなくなっていく様は、これがいじめの実態なのだと叫びたくなった。父親を心配させたくないので、嘘を重ねていく彼女。
研修旅行でバカ騒ぎしている生徒たちへの先生らのけん制はなかったのか(あれだけ騒いでたら「寝なさいよ!」と来そうなものだ)?行方不明者が出ても「夜遅かったので通報しなかった」というバカ者ども。いじめの真実を知った父の絶望は尋常ではない。
ただ…アレハンドラが無事でいたことは(彼女は泳ぎが巧く、前に住んでいた家へ向かった)鑑賞者にはわかるものの、父にはわからず、そうなるとラストで関係した少年を拉致し海に捨てた事が無意味なものになり…またなんともいえない気分にさせられます。
「暴力を抑制的に描くことに集中した」と言う監督、その演出はまるでハネケ作品に通ずる静かさすら感じられた。鑑賞後はつい、しばらく黙りこんでしまうような映画でした。