いやいやえん@引っ越しました!

映画・DVDの感想ブログです。個人の感想なのでネタバレしています。

蝶の舌

【概略】
1936年のスペイン、ガリシア地方の小さな村。喘息のため遅れて小学校医入学した8歳の少年モンチョは、老教師グレゴリオから勉強だけでなく自然界の神秘を教えてもらいながら成長していく。しかし、スペイン内戦が勃発し、彼らの平和な生活は一変してしまう…。
ドラマ


.0★★★★☆
だから、「さよなら」のかわりに叫んだ。胸、引き裂かれる思いで―
昔一度見た作品ですが、いまだにこんなに胸を打たれるとは…。
少年と先生との交流を軸に、内戦により混乱した人々の平穏がいかに崩されていくか、痛切に綴られている作品。
喘息を患うモンチョは、グレゴリオ先生に、蝶には丸まった長い舌があること、ティロノリンコという鳥は求婚の時に花を贈るものがいることを教わる。先生は高潔で優しく、モンチョは先生が大好きになった。しかし物語は、最後の最後で痛切なラストへと導かれる。

時代は1936年スペイン内戦勃発前である。町の人は共和派が多いようで、仕立屋の父も党員であった。先生も。しかし、共和派に対するフランコの反乱で生活は一変し…。
共和派は密告され、あるいは自分の考えを曲げない人たちは検挙され収容される。仲が良かったと思われると自分たちの命に関わるから…恐怖と混乱の村人たちは、昨日まで親しくしていた連れ去られる者に「アテオ(無神論者)!アカ!」と罵声をあびせるのだ。その中にモンチョも両親といた。やがてグレゴリオ先生が出てきて、母はモンチョにも言うように命じ、モンチョもやがて先生に罵声をあびせる。「アテオ!アカ!」。そして最後に石を投げ叫ぶ。「ティロノリンコ!」「蝶の舌!」

子供ならではの心情がラストにうまく集約されていると思う。何の事か理解していない言葉を投げつけて、でもこれが別離だと悟ってはいる、無力で複雑な少年の気持ちが鋭く切なく心に刺さりました。でも、先生から受けとったものは嘘ではなく、ラストのモンチョの硬い表情が観る者の胸を打つのでしょうね。少年の心が癒される事はないだろうと思うと、切なくてたまらない。