いやいやえん@引っ越しました!

映画・DVDの感想ブログです。個人の感想なのでネタバレしています。

テス

【概略】
19世紀末、貧農の娘テスは遠縁のダーバビル家に奉公に出される。その息子の私生児を孕んだ彼女だが、実家に戻って生んだ子はわずか数週間で死んでしまう。後に働きに出た農場で牧師の息子と美しい恋に落ち結婚するが、テスの過去を初夜に知った彼はそのまま外国に去っていく。流転の人生の果てに再び彼とめぐりあうテスだが、もはや新たな選択は破滅を意味した…。
ドラマ


.0★★★★☆
まさに大河ロマン小説。貧農の娘テスを主人公に、狂おしいほどに純粋にひとりの男を愛してしまったがゆえに運命に翻弄される女性の物語となっている。
ナスターシャ・キンスキーが本当に美しい。その瑞々しい美しさが生きるほどに罪深くなっていくテスの運命の戯れをいっそう過酷なものにみせてくれる。
彼女の運命…運命と言うものが本当にあるのなら…は、いくつもの偶然によって成り立っていた。そして彼女は美しすぎた。ほのかにバラ色の陶磁のような肌、輝く瞳とそれを縁取るまつげ、陽にすける髪…もうため息しか出ない。
ロマン・ポランスキー監督のこだわりなのか、粘つくような視線=カメラでもってそれを映すのである。

お話は、まるでテスの美しさが悪いかのような可哀想なもの。すなわち
● 清純な少女が森の中で放蕩息子に犯され、情婦にされる
● 子供が産まれるが赤ん坊は病気ですぐに亡くなってしまう
● 純粋すぎる夫エンジェルがテスの過去に悩み、妻を置いて遠くへ感傷旅行に
● 生きるために再び放蕩息子の情婦になるも、夫が戻ってテスは放蕩息子を刺す
● テスは警察につかまり、その後処刑される

清楚さと妖艶さを併せ持つ可憐なナスターシャの、静かに、しかし強く瞳の奥から放たれる強さは何だろうか(眼力鋭いと言う意味ではなく、瞳に力が漲っている)。放蕩息子アレックがテスに魅せられ彼女の気を引くために苺を食べさせるシーン、過去をしたためた手紙をドアから差し入れじっと待つ(しかしエンジェルは手紙を読んでいなかった)テスのシーン、テスを抱き留めたいがため他の女性をも水溜りの上を運び、いよいよ…となったときの二人の心情的な駆け引き。すべてが見事に形どられていて、本当に美しいのである。
でもこれ度量の狭いエンジェルに腹が立つわよ。結局は貴族と言うレッテルを貼って決死の覚悟で告白したテスを拒絶するんだもん。しかも家族が食べていくためアレックに身を任せた後に戻ってくるんだもの!タイミング悪っ。
風に揺れる葉、緑、そこにいるナスターシャ、完璧です。1カット1カットの映像が絵画のように美しく、詩的ですらある、まさに文芸のような味わいのある作品でした。