いやいやえん@引っ越しました!

映画・DVDの感想ブログです。個人の感想なのでネタバレしています。

デビルズ・ノット

【概略】
ウエスト・メンフィスで児童の猟奇殺人事件が発生。16歳から18歳の3人を逮捕するが、私立探偵のロンは独自で調査を開始する。
サスペンス


.0★★★☆☆
悪魔は、だれか。
むごたらしい児童殺人と冤罪(えんざい)としか思えぬ容疑者逮捕で話題となった、ウエスト・メンフィス3事件を映画化したサスペンス。
警察の証拠紛失や自白強要、事件と何ら関係のない証人たちの作り話、さらに保守的な地域特有の偏見といった根深い問題を焙りだしながら、事件の裏側では実際何が起こっていたのか、真犯人はいったい誰なのか、悪魔より恐ろしい人間の闇をまざまざと浮き彫りにしていく…といったお話です。
コリン・ファースが主演で調査員役、リース・ウィザースプーンが被害者のひとりの母親役を演じています。「デビルズ・ノット」の「DEVIL'S KNOT」は、悪魔の結び目と言う意味。デイン・デハーン君がアイス売りの青年でちょこっとだけ出てたよ。
実際の容疑者の写真↓ 劇中での役者がなかなか似てる。

事件は1993年当時でこんな裁判が起こりうるのか?という呆れる程の酷さに衝撃を受ける。鑑賞後、虚脱感しか残らない。
淡々とした流れの中で浮かび上がる気持ち悪さ、モヤモヤ感が本作のメインなのかもしれない。
森の奥で発見された3人の小学生の無残な死体に、異常者か悪魔崇拝者の仕業として、捜査員は「それに沿った証言だけ」を集めていく。
ストーリーは93年に起きた子供たちが惨殺された悲劇の発端から裁判に至る過程を追うドキュメンタリータイプの映画。不自然さを感じた調査員が、独自の聞き込みと証拠の再検討を進めるうちに、物的証拠は一切なく、限りなく冤罪に近い事件であるのが明らかになっていく。
全裸で、靴ひもで手足を縛られ、屠殺される動物のような格好で水の底に沈んでいた小学生3人。頭蓋骨は陥没し、体中に無数の切り傷やひっかき傷があり、一人の男の子は性器を切り落とされていたのだとか。この凄惨すぎる遺体から、異常者や悪魔崇拝者といった者が容疑者にあがるのは確かに容易だろう。
逮捕されたのは、メタルミュージックやホラー映画が好きなごく普通のティーン・エイジャーの青年だったのだ。保守的な町であれば、メタルやホラー映画好きってだけで、大人からは敬遠されるタイプの青年たち。
調査員ロンはあくまで冷静に証言の矛盾を見つけていく。そして暴かれたのは警察の怠慢と誘導尋問、警察に弱みを握られた人間の存在。しかし、弁護士資格のないロンの法廷での影響力は一般市民と同じくらい小さく、ただ疑問を投げかけるくらいしか出来ない。
まるで魔女狩りのように、犯人に仕立て上げられる青年たち。
さらに被害者のひとりの母親パムが新たな物証をみつけ(夫が持っていた、息子スティーヴィーのナイフ)、青年たちの犯行を疑いだす。しかし、反対意見を許さない、町を支配する「有罪」の空気が何よりも恐ろしくみえた。
ところで、冤罪を着せられた3人の青年たちはドキュメンタリー番組によってその事件が全米に広がり、彼らの無罪を支持する運動が全米各地に広がって、やがて芸能人らも彼らの支援に乗り出したのです。今から20数年前の出来事であるこの事件は、結局いまだ闇の中。現場近くの女子トイレにいた血まみれの黒人男の存在があったのに、取り調べもしない警察の無能さにアメリカ中が呆れ返ったということです。
のちに、警察が鑑定に回さなかったパムの夫テリーの体毛が、靴紐に残されていたDNAと一致して、犯人が決まったようなものなのに、事件解決にはなっていない。非常に不愉快でもやもやとする終わり方です…。
本作は警鐘なんだろうね。