いやいやえん

映画・DVDの感想ブログです。個人の感想なのでネタバレしています。

追憶と、踊りながら

【概略】
介護ホームで暮らすジュンは、息子・カイとの面会を楽しみにしていた。だが、カイはゲイであることを告白できずに悩み…。
ドラマ


.0★★★☆☆
息子の真実を知らない母。真実を隠し続けようとする恋人。悲しみが二人を分かち、そして二人を結びつける。
ロンドンの介護ホームでひとり暮らしているジュンの唯一の楽しみは、息子のカイが面会に来る時間だった。ジュンの気がかりは息子が友達に優しすぎること。なぜカイは、友達のリチャードと暮らすのか。そのために自分をこんなホームに入れるなんて。大切なのは家族なのに。そんな文句をカイに言うが、彼は返事をはぐらかし、明日のディナーを自分の家で、とジュンを誘う。カイは自分がゲイで恋人リチャードを深く愛していることを母に告白できず悩んでいたのだ。そして訪れる、突然の悲しみ。孤独なジュンを心配したリチャードは、カイの"友人"を装ったまま、ジュンの面倒を見ようとするが…。
ベン・ウィショー主演。
違う文化で違う世代を生き、言葉も通じないジュンとリチャード。愛する人を失った痛みを共に感じているのに、愛ゆえに大きな亀裂が生まれてしまう―。
どこか浮き世離れした美しい映像が、同性愛のラブシーンの生臭さを消してくれた。内容はともすればとてもドロドロしたものになりそうなのに、ならないのは、とにかく儚く美しく撮られた映像のおかげでしょう。ジュンに好意をも持つ老紳士と、通訳の女性、言葉が通じないというのはこんなにも面倒くさいものなのかと痛感させられる「訳待ち」の時間の多さよ。
でもその間が、実に自然体で、ジュンの怒りと、リチャードの苛立ちに通じるものがあるのだ。
ついにリチャードはジュンに告白する。「彼はゲイでした。僕がその恋人だ」それだけで、その後の話を無視したかのようにジュンにはすべて理解したかのような描写。敵視から孤独を通じる同志へと…。
「ダメな母親ね。息子の愛を争うなんて」。孤独な人生にだってきっと慣れる。あの日すべてが静止した。でも私はこうして生きている。忘れていた傷が突然うずくようで痛い、でも私は人生を続けていく。
4年暮らしたゲイの恋人の母親と一緒に暮らそうと提案するリチャードの姿は痛々しい。でもそれを、否定せず息子カイに聞かせるように、私はもう大丈夫と言い聞かせるようなジュンの言葉は、人生の多様を知っている人の姿そのものでした。

×

非ログインユーザーとして返信する

あと 2000文字

※は必須項目です。