いやいやえん@引っ越しました!

映画・DVDの感想ブログです。個人の感想なのでネタバレしています。

囚われのサーカス

【概略】
1961年、かつてベルリンで喝采を浴び、人々に愛されていたエンターテイナーのアダム・シュタインは砂漠の真ん中に立つサイズリン研究所に身を置いていた。そこはナチスによるホロコーストを生き残った者達をケアする場所として建てられた精神施設だった。アダムは明晰な頭脳と持ち前の話術で周りを惹きつけ、一見すると施設に不釣り合いのように見えたが、彼には退所できないある<秘密>があった…。
ドラマ


.5★★★☆☆
ジェフ・ゴールドブラム、ウィレム・デフォー、デレク・ジャコビ、モーリッツ・ブライブトロイ共演。
ホロコーストを生き延びた人達のケアをする砂漠の精神病院の中で、アダム・シュタインはその饒舌で人を魅了します。しかし何の話をしているのか、説明をはぶいた冒頭はそれだけで不思議な気持ちになります。

戦中のサーカス、ユダヤ人狩り、そのストーリーの狂騒さは最後にはひとつに収まるところに収まるようになっている。ジェフ・ゴールドブラムさんが非常にいい。迫真の演技といってもいい。こんな重い話が幾分か見やすい話に仕上がっていて、そこも良かった。

過去…強制収容所へ入れられると、かつてアダムのショーに感動したナチスの司令官クラインに、命を救う代わりに犬になれといわれ、四つんばいになって犬に成りきり、ペットとして飼われることになるアダムの姿。軍用犬と一緒に首輪と鎖を付けられ、犬と同じものを食べさせられる。しかし妻子を生かしてくれるという言葉を信じて生き抜くためには、恥も外聞も何もない。そんな生活をしていた彼はガス室に送られる妻子を見送ることになる…。

現在…隔離部屋で鎖に繋がれ犬のように暮らす子供と出会うアダム。かつての自分をそこにみたのか、人間のように躾をさせ言葉をかける。だが、子供が人間らしくなるにつれ、アダムは過去の幻影にとりつかれはじめるようになる。
ナチスの男たちの慰みものとなり、犬になった父を許すことができなかった長女ルーシーは、生まれたばかりの息子ともども自死してしまっていた。その夫に「ピエロの娘なのに一度も笑うところを見たことがなかった」といわれる。

パーティの夜、アダムは腕の認識番号を指し叫ぶ「われらは腕の軍隊なのだー!」しかし死を指す自らの過去と決別した彼は犬の少年の「僕をおいていかないで」という言葉に思わず彼を抱きしめるのだった。戦争とは、人々から笑顔を失わせる。収容所へ追いやられたユダヤ人たちの生活がいかに過酷だったのかを改めて痛感した作品だった。