いやいやえん@引っ越しました!

映画・DVDの感想ブログです。個人の感想なのでネタバレしています。

母の身終い

【概略】
麻薬の密売で服役していたアランは、出所後、闘病中の母・イヴェットの下に身を寄せる。ふたりは長年の確執を引きずっていたが、アランは母が尊厳死を決心したと知り…。
ドラマ


.0★★★★☆
いつもと変わらぬ朝。いつもと違う母の顔。残されたわずかな時間が、静かに流れていく…。
不治の病に冒され究極の選択を決心した母親とその息子の絆を描き、尊厳死というものについても考えさせられるドラマ。
「ラスト3デイズ~すべて彼女のために~」のヴァンサン・ランドンさんが、相変わらずいい表情をしているのですよ。枯れた男の哀愁が良く出ている。そしてその母をエレーヌ・ヴァンサンさんが、内に秘めた感情を上手く隠し人生の終え方を選択した老女を演じられています。
誰だって、両親の死というものはいつかはくるとわかってはいても、現実味がないのが事実。いつだってそこにいるのが当たり前になっている。人生の再出発をしようとあがいていたアランにとっては、母の覚悟=決断に、嘘だろうという気持ちが大きかったのではないかな。批判されたことで憤ってるのは勿論だけど、勝手に決めた事や失うであろう大切な人に現実味がなくて、意固地になっているかのよう。「勝手に死ね」は言いすぎだけど。

母親の強い意志があらわれているかのような落ち着いたトーンの映像に魅せられます。家事や日常を映す事で、なかなか寄り添えない母・息子の姿に、言葉では言い表せられない感情が痛烈に伝わってきます。そして母の腫瘍は悪化していって淡々と話は進み、その日がやってきてしまいます。
このラストの展開が、もう重くて苦しくて。「愛してる」「俺もだよママ」母子がようやく心が寄り添えた瞬間の姿に、私も涙ぐんでしまいました。
遺された者の気持ちは、どこにやればいいんだろうか。