いやいやえん@引っ越しました!

映画・DVDの感想ブログです。個人の感想なのでネタバレしています。

バベットの晩餐会

【概略】
ある海辺の村で暮らす牧師とその娘たち。美しい姉妹の下には何人もの若者が求婚に来たが、ふたりは父の死後も未婚のまま過ごしていた。ある日、そこへバベットという女性がやって来て…。
ドラマ


.5★★★☆☆
デンマークの寒村に、美人姉妹だがあまりにも敬虔なプロテスタントであったがためそのまま年を重ね、今は老女となった姉妹が住んでおり、村の老人たちの食事の世話などして暮らしていた。この姉妹のところにパリ・コミューンで家族を失い、母国をすてたバベットという女性がやってきて家政婦として住みつく。
十数年後、宝くじが当たったバベットは、村人と姉妹に対してお礼の晩餐会を開きたいと提案する…。
前半は2人の老婦人の若かりし時の思い出が描かれます。30分を過ぎて、ようやくバベットが訪れますが、それはかつて老婦人に思いを寄せた歌手パパンからの紹介でした。

最初は、村人たちの陰鬱で敬虔で無知な姿が中世っぽさを感じさせてくれていたのだけれど、晩餐会での村人たちのあまりの純朴ぶりが滑稽で、それを和らげてくれた(あまりの豪華な料理の数々に恐れをなした村人たちが「料理について話すのをやめよう」と口裏あわせたものの、あまりの美味しさに…)。

かつて老婦人に思いを寄せた将軍だけが料理の価値を述べているのだけれど、毎度いう「料理の事は忘れよう」という口裏が逆に料理の美味しさを感じさせる。
質素な生活になれた村の人々が経験する豪華なフランス料理の数々に、笑顔がのっかりこちらもつい笑んでしまうような、気持ちが徐々に変化する様が映画を観る者にも伝わってくるのが素晴らしい。

晩餐会のあと、一人厨房で心の重荷をおろすバベットの姿。彼女の素性がテーブルで述べられた噂の女料理長だというのがわかりますが、ある意味で一番幸せだったのは、ゲストたちじゃなくバベット自身だったのかもしれない。あの晩餐は、バベットにとっても人生の全てを表しているようでした。
美味しい料理が人を幸せにするという作品ではありません、その裏にある人生の機微、質素ながらも心豊かな生活が、本当の幸せなのだと気づかされるのです。見返りのない無償の愛の姿、「魂の自由」に思いを馳せながらもそれは見事に昇華して、感動させられるのです。