いやいやえん

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ベル―ある伯爵令嬢の恋―

【概略】
18世紀英国、海軍士官のリンジー卿は黒人女性との間に娘・ベルをもうけ、叔父に養育を託す。
ロマンス


.0★★★☆☆
英国の階級社会の中で自分らしく生きた伯爵令嬢ベルの人生と恋を、実話をベースに描いたラブストーリー。
黒人との間の子は、地位は高くても差別の対象となったのですね。肌の色を一見しただけでマンスフィールド卿は引き取りを断るが、すでに養育していた姪孫エリザベスの話相手としてダイド・ベルを引き取ることに。
子供のいないマンスフィールド卿は、十分な教育と生活を娘たちに与え、ふたりは良家の淑女として姉妹のように仲良く育つ。しかし、その肌色ゆえ、社交界にデビューする年齢になってもディナーの席にダイド・ベルだけは同席を許されなかった。
まるでオースティンの小説を髣髴とさせる英国の美しい田園風景を背景に、肌色差別に耐えながらも、凛として生きた女性の姿を描いた本作、恋の相手になるのは、法律家志望の青年ジョン・ダヴィニェール。
肌色が面倒ならさっさと片付けてしまえばいいのに、それも出来ずに身分の違いというものが立ちふさがる。

フルネームはダイド・エリザベス・ベル(Dido Elizabeth Belle)、1761年生まれ。最近までイギリスでも知られてなかった存在らしいのですが、2005年にマンスフィールド伯爵のある絵画に描かれていたことがわかって存在が明るみになったらしい。それがこの絵です。
一人は普通の貴族の女性。しかし、黒人の女性は着飾っているあたり、どうみても「奴隷」ではない。そして明るい表情でとっても美しい。
彼女の父親はマンスフィールド卿の甥で、スペイン海軍とイギリス海軍との戦いが熾烈な時期の話でもあった。
2人とも、マンスフィールド卿というイギリスの最高裁判所にあたる王座裁判所の最高判事の姪っ子で、仲が良かった事がこの絵から覗える。
実は、このマンスフィールド卿っていうのは裁判官として、イギリスの奴隷制度を終わらせる第一歩を刻んだ人だった。しかしなぜ奴隷制度を廃ししようとしたのかは今まで謎だった。その理由は、彼女の存在があったからではないかと今は言われている。黒人である、自分の娘…。そう考えると辻褄が合うではないか。
実際のゾング号事件(要は奴隷を輸送する奴隷輸送船が150人の奴隷を海に投げ捨てるっていう事件を起こしたのだが、殺人事件としてではなく、損失黒人の保険を支払えということで裁判を起こした、奴隷制度廃止のきっかけになった事件)なんかを心を通わすきっかけにしたりして、その裁判記録などをみてダイドがどうするか、ってところも見どころであった。
そしてそして、絵画から受ける聡明で美しいダイドの姿を映画では膨らませているのが面白い。多分実際にはもっと酷い扱いを受けていたんだろうけれど、そうは描かず、同じ絵画のモデルになっているエリザベスよりもダイドの方が映画の中ではモテてたり…とかね。
結局、すれ違いになるダヴィニェールとは別に政略結婚でオリバーと婚約してしまうダイド。
この頃の男女のやりとりが、すべて直接的ではなく間接的で遠巻きなのがロマンチック。奥ゆかしい感じがなんとも素敵!
しかし、ゾング号事件の件で色々と調べ出したダイドは、その真実を知っていき、ダヴィニェールと心を通わせるうち、伯爵令嬢としてではなく本当の自分を愛してくれるひとは誰なのか、ダイドの心は大きく揺れ動く…。
聡明なダイドはとてもチャーミングな女性でしたが、エリザベス役のサラ・ガドンも可愛かった。
普通のラブロマンスだけではなく、人道的な倫理問題をも含めた物語になっていて、なかなか見ごたえがありました。

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