いやいやえん@引っ越しました!

映画・DVDの感想ブログです。個人の感想なのでネタバレしています。

赤ひげ

【概略】
見習いとして小石川養生所で働くことになった保本登は、そこで「赤ひげ」の異名を持つ無骨な所長・新出去定と出会う。養生所と赤ひげに好感を持てない保本は、破門されることを望んでいたが…。
ドラマ


.0★★★★★
なにこれヒューマンドラマの傑作だよ!!この作品には単純に「感動した、泣けた」それだけじゃない心の琴線にふれる何かがあります。これを観ないで邦画好きですなんていっちゃいけないよね。
ストーリーとしてはわかりやすい。エリート街道まっしぐらの青年医師・保本が、小石川養成所の、口が悪くて不器用だが大きな愛を持つ天才医師「赤ひげ」のもとで、人間として成長していく物語。
3時間くらいあるのですが、全然気になりません。

この三船敏郎さん演じる赤ひげ先生の、横暴にみえる態度の裏の真意というか優しさは、本当にあたたかく気高い。それに堂々とした風格や態度はやはり上手いですよね。
加山雄三さん演じる保本のいい意味での青臭みも良かったです。
見所はたくさんありますよ。印象的な主なエピソードである狂女、佐八夫婦、娼家の少女などのほか、言葉や態度のちょっとした箇所にも。特に赤ひげの一言一言は、重い。
臨終を迎える老人の傍、苦しい息遣いについ汚いものを見るように体をそむけてしまう保本、このエピソードは実に人間らしい。
「わしは医者だ、病人のいる限り来る」

全体に、白黒映像が映えるんですよ。影の使い方がうまいのかな、佐八の伸びる腕の影、過去の夫婦の再会のうなだれる影、素晴らしいです。岡場所での医者らしい急所直撃の乱闘シーンも痛快でした。
心が病んだ少女が次第に心を開いていく様もよく出来ていたと思います。
少女にはねつけられてもすぐに何度でも薬をのませようとする赤ひげ。何度でも何度でも続ける彼に、はねつける側である少女側にも罪悪感が生まれ、薬を受け入れる。
保本に対し心を開いていくわけですが、その根本はやはり赤ひげの姿があってこそ。少女が熱をだした保本のため雪を積んで水にいれ少しでも冷やそうとする姿は少女の心が再生した瞬間です。
少女を守ろうとだいこんでなぐりつける賄いの女性達も印象深い。長坊の名を井戸の底へ叫ぶシーンもありましたね。

保本は次第に赤ひげに尊敬や人間としてのあり方を見て、念願であった医師としての出世の道を辞退し、養成所に残る事を決意。ラストも照れを隠して(ですよね?)偏屈な赤ひげ先生。晴れがましい気持ちになりましたよ。
病人を診察すると同時に彼らの心まで診る、赤ひげ。素晴らしい傑作です。
これ黒澤×三船さんの最後の作品なんですよね…。