いやいやえん

映画・DVDの感想ブログです
個人の感想なのでネタバレしています

ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディ)

【概略】
13歳のリリは母親の出張中、愛犬・ハーゲンと共に別居中の父親に預けられる。犬の飼い主に課せられる重税とリリの反抗的な態度に怒った父親は、ハーゲンを高架下に置き去りにしてしまう。
パニック


.5★★★☆☆
舞台となるのは、雑種犬の飼い主に重税を課す法律が施行されたある都市。捨て犬となったハーゲンは弱肉強食の世界に放り出されて次々と危険な目に遭い、ついには数百匹もの犬の群れを率いて、傲慢な人類への反乱を引き起こすのだった…。
日本では何千匹といっ犬猫たちが殺処分されているなか、ドイツでは殺処分0なんだそうですね。保護施設や法律できちんと整備されているんだそうです。ある日、日本で殺処分対象である犬猫たちが反乱を起こしたら…それはそれで恐ろしいことかもしれないですね。
少女リリとの絆と、野生に目覚め反乱を起こす犬たち、そしてそのリーダー犬であるリリの愛犬ハーゲン。ジャケ画にあるとおり、大量の犬たちがドラマに華をそえています。この250匹の犬たちですが、なんと施設に預けられていた犬たちに演技させているんだとか。その手の専門家さんがスゲー。しかも、出演した犬全てに数多の飼い手が名乗りをあげて無事に引き取られたという、なんとも幸せなバックストーリーまでついてる。
どこにも居場所がない13歳のリリの心のよりどころは賢くて素直な飼い犬のハーゲンだけ。そんなある日、リリは折り合いの悪い父親のもとに預けられることになるのです。やがて煩わしくさらに預かってるだけなのに税金までかかるというのに怒った父親は、高架下にハーゲンを置き去りにしてしまう。 「必ず迎えに来るから!」と涙するリリ。これが少女と犬の長く壮絶な受難の日々の始まりだった…。
リリはさらに孤立感に打ちひしがれ、必死にハーゲンを捜し続けていたが見つけられない。ハーゲンはホームレスに拾われ野犬ブローカーに売り飛ばされてしまう。 そして、 流浪の果てに裏社会の闘犬場へと駆り出され、獰猛な野生に目覚める。やがてハーゲンは、虐げられてきた犬の群れを率いて人類への反乱を引き起こすのだった…。
リリの飼い犬である主役のハーゲンは雑種犬だがしつけられた犬…いわば「お坊ちゃん」であり、そんな彼がいきなり外に放り出されるわけで。心情に言葉がないにもかかわらず行動と鳴き声、BGMであるクラシック音楽が胸にグサグサ突き刺さってくるのです。これ、犬好きでもない人でも同情して、かわいそう…なんて思えてくるはずです。
しかしそんな感情は、ある時を境に恐怖と衝撃に変わります。
人間に対し反旗を翻した犬たちは、飼い主である人間=いわば神に牙を剥くわけです。DOGとGODが反対文字なのが皮肉的ですね。野生の生活を送るハーゲンの内に秘めた闘争本能は恐ろしく、剥き出す牙が本当に恐ろしかった。
そしてハーゲンを探すも見つからず次第にすれていくリリと、ハーゲンが野良犬と化していく流れが交互に映されていて、互いを失って心が崩れていくのをリンクしているように見える演出がまた秀逸でした。でも途中から父親が何故か改心したかのようにリリに対し優しくなってさーだったら最初から!って思っちゃうわけよ。
とかく犬の演技がすげえ。なんかもう途中でハーゲンが可哀想で可哀想で…たまらんかった。そしてついに保護施設へ送られそこから脱出。他の犬たちを引き連れて…序盤でもありましたが犬たちがこうブワーーーーッと…。あれは壮観。そしてラスト、ここがまた秀逸、リリに対しても牙を剥いていたハーゲンが、リリの演奏を聴いてその表情を一気に柔らかく切ない瞳でペタンと座り込んでしまう。その姿はもうどこにも闘犬の様子はなく、しつけられた良犬であった。

×

非ログインユーザーとして返信する

あと 2000文字

※は必須項目です。