いやいやえん

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本陣殺人事件

【概略】
かつて本陣として栄えた一柳家当主の婚礼の夜、新郎新婦は無残な惨殺死体となって発見された。金田一耕助はこの密室殺人事件の謎を解くことが出来るのか!?
サスペンス


.0★★★☆☆
古谷一行が金田一耕助に扮した、横溝正史原作ミステリーのTVシリーズの一作、全3話。それも日本家屋における密室殺人で、原作でははじめて金田一耕助が登場した作品になってます。
私は両親が集めていたので、自宅にあった角川文庫で小さい頃から読んでいますが(表紙のイラストが抜群に雰囲気ある文庫シリーズ…)、他に収録されている「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」もなかなかに面白いです(黒猫亭はDVD化されていますね)。
横溝作品でのもう一人の主役由利先生はスマートですが、この金田一耕助のシリーズでは旧家に代々続く因縁ドロドロ愛憎劇や、戦前戦後の入り組んだ怪奇性の高い連続殺人事件が多いです(好き!)。

「本陣」とは、江戸時代以降の宿場で大名や旗本などの宿泊所に指定された家のこと(戦国時代の本陣とは別です)。舞台はこの本陣の末裔である一柳家の屋敷、現当主賢造の婚礼の夜に起こった新郎新婦の殺害事件に、パトロンで旧知の久保銀造と共に来ていた金田一耕助は巻き込まれます(原作では久保に呼ばれます)。事件の背後には、格式高い一柳家の旧価値意識があります。
 ↓ 相関図を作ってみました

離れ家屋の密室、庭につきささった刀、血痕が飛び散る金屏風、黒猫の墓、琴の音、三本指の男など、伝統的だったり怪奇的なキーワードを使用することによってどこかおどろおどろしさが出ているんですね。
一応練習していたとはいえ、トリックの仕掛けがそんな上手くいくのか!?と思わないでもないけれど、封建的旧家には合わないような奇抜な推理トリックが行われているのは面白いですね。ちなみにくだんのトリックとは、水車と琴糸、です。(これで大体わかるねっ)
このときの古谷さんはなんだか格好良いですね。古谷金田一でも本陣は二回とられているのですが、こちらは77年版のほうです。83年版のほうも観たいなあ。
原作に沿って作られていますが、TV用に改変されている部分は許容範囲かと。犯人には、雪が降ったことで計画が崩れることがわかっているわけで、それでもどうしてもあのときに決行しなければならなかったんですね。動機だけを考えれば、潔癖であるとはいえ、銀造の台詞の通りそんなことで殺すことはなかったと考えてしまうけれど(恥辱に耐えられないという潔癖な弱さもある)それすらも、旧価値意識の中にいる人間の哀しさと弱さ、恐ろしさです。…考えてみて!夜の闇の中で計画した時をじっと待つ心境を。
密室にしなければいけなかったのではなく、密室にされてしまった…いわば自然現象による計画の崩れというところが面白いですよね。また事件そのものよりも、なぜそうしなければならなかったのかというところに恐ろしさがある作品です。
ところでこのTVシリーズって担当警部が原作の等々力警部や磯川警部ではなく、ほとんどがオリジナルの日和警部なんですよね。どうしてわざわざ変えたんだろう??

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